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肌(皮膚)の構造と肌老化の原因

アルベイズ梶原
肌(皮膚)の構造と肌老化の原因

こんにちは。

アルベイズ梶原です。

今回はまたお堅い内容ですが、美容を理解する上で重要な肌(皮膚)の構造について解説していきます。

肌(皮膚)の構造

肌はこのイラストのような構造になっています。

まず、大きく

  1. 表皮
  2. 真皮
  3. 皮下脂肪

の3層から成ります。

(上の図には描かれてないですが真皮層の下に皮下脂肪があります)

 

1.表皮

で、表皮は更に

  1. 皮脂膜
  2. 角質層
  3. 顆粒層
  4. 有棘層
  5. 基底層

の5層から成ります。

それぞれの役割を解説すると

①皮脂膜

皮脂膜は文字通り、脂の膜です。

もう少し、皮脂の中身を詳しく見ると

  • トリグリセリド(油脂)
  • セラミド
  • スクワラン
  • 脂肪酸
  • アミノ酸

などで構成されていて、弱酸性になるように体が調整してくれています。

多くの細菌は酸に弱いので、細菌感染を防ぐ作用があります。

また、皮膚内部の水分が蒸発しないように蓋をする役目もあります。

皮脂は肌を守る役割があるので、ないと困るのですが、一方で酸化されると固まって、角栓になります。

そうなると毛穴を塞いでしまい、ニキビや黒ずみの原因になります。

酸素と触れている限り、あらゆる物質は酸化されていくので、皮脂の酸化を防ぐことは現実的には不可能です(ヒトは窒素ガスの中では生きていけないので)。

つまり、酸化した皮脂は取り除くしかありません。

落としすぎても、
落とさなさすぎてもよくない

それが皮脂です。

なので、適切な洗顔と保脂が重要になります。

 

②角質層

死んだ表皮細胞(角化細胞)の積み重なった層です。

生きた細胞はいません。

表皮細胞は死ぬ時にケラチンというタンパク質を残して死にます。

これが何数十層、積み重なったものが角質層です。

キレイに積み重なっている時は、良いのですが、ターンオーバーが乱れてくると次第に表面がささくれだったようになり、肌のバリア機能が破綻し、病原体に侵入されやすくなり、水分も逃げやすくなります

また、肌表面にあたった光がキレイに反射しないので、くすんで見えやすくなります。

角質層は最終的に剥がれ落ち、垢に成ります。

 

③顆粒層

ここからは生きた細胞で構成される層です。

顆粒層は主に紫外線を反射して、肌の奥を守る働きをしています。

④有棘層

表皮の中で最も厚い層で、活発に細胞が分裂している層です。

ここで生まれた細胞が上の顆粒層⇒角質層へと押し上げられていき、最終的に垢として剥がれ落ちます。

肌細胞の生産拠点ということができるでしょう。

⑤基底層

真皮と接している薄い膜状の層で、上皮幹細胞はこの基底層に存在することが分かっています。

上皮幹細胞は上皮組織(肌)を構成する多種類の細胞へ分化する多分化能を持った細胞で、肌の構成細胞を供給しています。

この意味で肌の生みの親と言っても過言ではない細胞です。

上皮細胞がどんどん垢になって剥がれ落ちていっても肌がなくならないのは、この幹細胞が新しい上皮細胞を供給し続けているからです。

幹細胞について詳細はこちらを参照してください。

⇒幹細胞とは?

 

また、真皮の血管から血流の供給を受けている層でもあります。

 

2.真皮

上皮組織の下には真皮組織があり、上の上皮組織(肌)を支えています。

この真皮には細胞はあまりいなくて、まばらに線維芽細胞や免疫細胞がいるくらいです。

真皮はほとんどがタンパク質と水で構成されています。

真皮を作っている構造タンパク質はほとんどがコラーゲンです。

他にコラーゲンを束ねるエラスチンもありますが、コラーゲンの方が圧倒的に多いです。

また、水分を保持するプロテオグリカンヒアルロン酸などのムコ多糖も重要な構成分子です。

真皮ではコラーゲンの骨格が肌を支えて、空いたスペースを水を含んだプロテオグリカンヒアルロン酸からなるムコ多糖が埋めているイメージです。

つまり、コラーゲンプロテオグリカンヒアルロン酸などのムコ多糖が肌のハリと弾力を作っています。

これらの生体分子を作っているのが線維芽細胞です。

さらに、この線維芽細胞を生み出す真皮幹細胞が存在します。

この真皮幹細胞は上皮の基底層との境界あたりにいて、FGFの作用で線維芽細胞を増やします。

つまり、肌のハリを保ち、シワを防ぐにはこの線維芽細胞を増やすFGFが重要になります。

3.皮下脂肪

この皮下脂肪は美容とはあまり縁のないところですが(というかどちらかというと敵?)、幹細胞治療を行う時はこの皮下脂肪から間葉系幹細胞を取ってくるので、僕は大変お世話になりました。

⇒幹細胞治療とは?

 

肌(皮膚)の老化とは?

実は老化は複雑な現象なので、根本的な原因は医学生物学的にはあまり解明されていませんが、肌についてはある程度、分かっていることががあります。

まず、肌が老化してくるとターンオーバーが遅くなることが知られています。

20代では約28日、30~40代では約45日と年齢を重ねるごとにターンオーバーの周期が遅くなっていきます。

 

表皮幹細胞が減る?

なぜ、ターンオーバーが遅くなるのかってことなんですが、表皮幹細胞が減るからではないかと考えられています。

Age-related decrease in CD271(+) cells in human skin

こちらの論文でそのことが指摘されています。

つまり、表皮幹細胞が減った結果、そこから生まれてくる上皮細胞が減ってターンオーバーが遅くなるということです。

では、なぜ表皮幹細胞は減るのか?というところなんですが、

上の論文では紫外線によって表皮幹細胞や真皮幹細胞がダメージを受けて死んでいるのではないか、と仮説を立てていました。

真皮幹細胞も死ぬ?

上の論文では真皮幹細胞も加齢とともに減少していることが指摘されています。

真皮幹細胞はコラーゲンヒアルロン酸を作る線維芽細胞を生み出す幹細胞です。

真皮幹細胞が減少⇒線維芽細胞が減少⇒コラーゲン、ヒアルロン酸が減少⇒シワ・たるみ

という連鎖が起こっているのではないかと考えられます。

 

紫外線のダメージ

紫外線はDNAをはじめ生体分子を破壊するので、浴びるだけでかなり細胞にダメージがあります

実際、かなり高齢の方でも、ほとんど光を浴びない脇や内ももにはほとんどシワがありません。

体表の老化の原因の8割は紫外線という皮膚科医もいるくらいなので、紫外線原因説は有力だと思います。

 

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