開発ストーリー

はじめまして。

こんにちは。

アルベイズ開発者兼再生美容研究所代表の梶原です。

ありきたりでいかにもドラマチックな話ですが、ノンフィクションです。「現実は小説よりも奇なり」というのは嘘じゃないんだなと確信しています。

七転八倒抱腹絶倒の物語をぜひ楽しんでいただければと思います。 

 

目次

  1. 婚約したら余命2年
  2. 左半身が消失!?
  3. 幹細胞で人体実験
  4. 融資拒否&頭蓋骨喪失
  5. サイボーグ化からのクラファン
  6. アルベイズに込めた想い

婚約したら余命2年?

 脳腫瘍発覚から緊急入院

「紹介状書くんで、今すぐ脳外科に行ってください」

軽い気持ちで頭痛外来を受診してMRIを撮ったら、先生にそう言われた。

「タクシー呼ぶんで、外のイスにかけて待っててください」

「えっ?タクシー?」

「はい、タクシーで。15分くらいなんで、すぐですよ」

「電車とかで移動ではなくて?」

「えー、そうですね・・・、タクシーで行くことを強くおすすめします」

このあたりで、なんかやばいやつなんだろうなとは思ったが、それ以上深くは考えないことにした。

     

    治らない頭痛

    もともと、小学生の頃から副鼻腔炎(蓄膿症)によくなっていたので、それからくる頭痛はよくあった。

    鼻うがいをするようになって、だいぶ症状は改善されたのだけど、ここ最近頭痛が取れないことが増え、それで今年2月に思い切って鼻を手術した。

    ツイッタで「鼻を手術する」とだけつぶやいたら、ほとんどの人が美容整形だと勘違いしていて、会う人みんなに「鼻高くなったんですか?」とか聞かれた。

    その手術は無事に成功し、青函トンネルが開通したかのような、これまでの人生で経験したことがないレベルの鼻通りになったのだけど、肝心の頭痛が治らない。

    むしろ、ひどくなっている気がする。

     

    これはもしかして、鼻が原因の頭痛ではないんじゃないか?

    そう思って、頭痛外来を受診してみた。

    ほんの軽い気持ちで。

    肩こりとか、眼精疲労とか、そういうのが原因だと言われるのだと思っていた。

    1日の大半はPCかスマホに向かってるので、実際、目は疲れているし。

     

    その頭痛外来では、総合的に頭痛の原因を分析して治療をしてくれるということだったのでそこを選んだのだけど、初診のときはMRIやらレントゲンを撮って、物理的な病変がないかもチェックしてくれる。

    予約の時間に着いて、まず、最初に軽く先生の問診があって、それから頭のMRIと首のレントゲン。

    しばらくして、診察室に呼ばれる。

    先生が首のレントゲン写真を見ながら「ちょっとストレートネック気味なんで、猫背とか気をつけてくださいねー」と言った。

    次はMRIの画像。

    カチカチとクリックしながら脳みその断面図を切り替える先生。

    「・・・脳の右側に白い影が写ってますね」

    「これは何なんですか?」

    「・・・。ちょっとうちでは難しいので、脳外科を紹介しますね」

    MRIの画像を見た瞬間にレントゲンの写真を診てたときとは明らかに先生の空気が変わった。

    特に詳しい説明はなかったけど、なんかヤバいっぽいのは嫌というほど伝わる。

    そのまま冒頭の通り、呼ばれたタクシーに詰め込まれて、病院へ向かった。

     

    タクシー、病院を間違える

    そして、なんと乗ったタクシーは病院を間違えた。

    連れてかれた病院の受付のおっちゃんに紹介状を渡したら、しばらくしてから呼ばれ、こう言われた。

    「この病院じゃなくて、○○橋の方の○○病院ですね。名前が似てるんでよく間違われるんですよ。前に救急車が間違えて来ちゃったこともあるくらいで・・・」

    うぉい、なんてこった。

    一刻を争うっぽい雰囲気でタクシーに乗せられたのに。

     

    再びタクシーを捕まえ、無駄に二重に料金を払って、なんとか紹介された病院にたどり着いた。

    受付で名前を言って紹介状(開封済み)を渡す。

     

    でも、ちょっと腹が減ってきた。

    そういえば、朝から何も食べてない。

     

    ファミチキが最後の晩餐?

    病院内にファミマが入っていた。

    これ幸いと、痩せるトクホのお茶とファミチキを買った(痩せる気があるのかないのか分からない組み合わせだけど)。

    ファミマから出たら、受付のおばちゃんが僕の名前を大声で呼んでいた。

    ちょっと恥ずかしい。

    なんとなく、そうなる予感はしていた。

    ファミマで買い物してる間に名前を呼ばれるんじゃないかと。

     

    おばちゃんが脳外科の場所を教えてくれたので、その通りに向かう。

    そこでもまた待たされる。

    外来の診療はもう終わっている時間なので、待合には誰もいない。

    ここでファミチキを食べて良いものかどうか、迷ったものの、空腹には勝てず。

    脳外科の前の待合でファミチキをかじりながら、

    「これが最後の晩餐になったら、さすがに嫌だな」

    なんて思っていた。

     

    普通に生活できているのが不思議

    頭痛外来でCDに焼いてもらったMRIの画像を診ながら、脳外科の先生(すごい頭良さそう)が言った。

    「これは頭痛がするはずですね」

    画像の影を指差しながら、先生が言う。

    「ここ、脳の右側に”おでき”ができていてそのせいで、内圧が上がって・・・」

    「えー、つまり腫瘍ができてるってことですね?」

    せっかく先生がオブラートにつつんで”おでき”と表現してくれたのに、自分で腫瘍と言い直してしまう僕(悪気はない)。

    「そういうことになります」と先生。

    「普通はこれだけ腫瘍が大きくなってたら、手足に痺れとか麻痺とか、他にも症状が出てもおかしくないんですが、よく頭痛だけで済んでますね」

    そう言われても、頭痛以外、体調には何の問題はないので、危険な状態だと言われる方が信じられない。

    「まだ詳しい検査をしてみないと断定はできないですが、99%グリオーマという脳腫瘍ということで間違いないでしょう」

     

    そのまま緊急入院

    頭痛外来で半強制的にタクシーに乗せられたあたりで予想はしていたものの、やっぱり脳外科では「このまま入院してください」と言われた。

    てんかん発作を起こす可能性があるから、自宅に帰すわけにはいかないと。

    でも、入院の準備なんて、当然、何もしてない。

    急転直下の青天の霹靂で鳩に豆鉄砲状態だった。

     

    恋人に持ってきてもらおうかと思ったものの、

    「しまった。合鍵渡してねぇ」

    ちょうど、その日の朝に「結婚したらどこに住もうか?」みたいな話をしていたところだったので、家出るときに合鍵を渡すつもりでいたのだけど、うっかり忘れていた。

    そのうっかりが、まさかここで利いてくるとは・・・

     

    一応、その場で入院になったものの、先生がすぐに外出の許可を出す、という形で家に荷物を取りに帰れることになった。

    「やっぱりタクシーじゃないとだめですかね?電車とかじゃ・・・」

    「タクシーで行かれてください。それだけ危険な状態ということなので、ご理解いただければ・・・」

    ここから家までタクシーだと1万円コースじゃん!うしごろ食べれるじゃん!と思って一応、聞くだけ聞いてみたもののやっぱり断られた。

     

    タクシーに乗ってすぐ彼女にLINEを送る。

    「ごめん、いきなり入院することになって。」

    「え、嘘!?」

    「残念ながら、本当。今から家まで荷物取りに行く」

    「私も行くよ。何か必要なものあれば、買っていくから言って。」

    「あー、入院中もマスク必須らしいんだけど、家にはもうアベノマスクしかないから、良さげなやつ買ってきて」

    「アベノマスクw 分かった買っていく」

    病院であのマスクしてたら、配膳係と間違われること請け合いだ。

     

    胃がんの運ちゃん

    タクシーの窓を東京のビル群が流れていく。

    わりといつぶっ倒れてもおかしくない状態だったらしい。

    いまだに信じられないけど。

    頭痛がする以外に体調に問題は全く無い。

    ピンピンしている。

    週末は普通にセミナーやって、月曜は恋人とデートしていた。

    そこから急に脳腫瘍で危険な状態だから入院って言われても現実感がない。

     

    基本は人見知りなので、自分からタクシーの運ちゃんに話しかけるなんて、まずないのだけど、なんとなしに現状を話してみた。

    白髪混じりの細長いおっちゃん、多分50前後くらい。

    「かるく検査を受けたつもりだったら、そのまま入院だっていわれて、今慌てて荷物取りに帰ってるところなんですよ」

    「それは大変ですね。このまま、日比谷通り通っていっていいですか?」

    「あ、はい。道よくわからないんでおまかせします」

    「わかりました」

    「・・・」

    「実は私、ちょっと前に胃がんで手術したんですよ」

    「え、そうなんですか?」

    「ステージ3だって言われて、もうだめかと思ったんですが、今はこの通り、仕事にも復帰してます。定期的に検査は受けてるんですけどね」

    なんという偶然。

    たまたま乗ったタクシーの運ちゃんが急に偉大な先輩に見えてくる。

    しかし、残念ながらやっぱり僕は人見知りなので、ここで何言っていいかわからなくなって、運ちゃんとの会話は終了。

    それから、慌てて仕事関係の人に入院する旨を伝える。

     

    家が近づくにつれて、車窓が見慣れた景色になってくる。

    「そこの今、赤になってる信号のところで止めてください」

    家の前について、代金を支払って、ドアが開く。

    降りたところで、ドアの向こうから運ちゃんが体を乗り出してきそうな勢いで叫ぶ。

    「こういう無責任なこというのもアレなんですけど、今の医学は本当にすごいんできっと大丈夫ですよ!頑張って!」

     

    Last Dance

    タオルとかひげそりとか必要そうなものを紙袋に詰め込む

    あと、絶対、時間持て余すのでタブレットとPC、そして充電器類も忘れずに。

    「タクシー乗ったのでもうちょっとで着く」と恋人からLINE。

    「この辺、あんまりタクシー通らないからマンション前に止めといて」と僕。

     

    朝、彼女と別れる時に冗談で

    「病院着いてそのまま頭開けて手術されたらどうしよう?」

    なんて言っていたら、半分くらい本当になってしまった。

    荷物を持って下に降りる。

    タクシーの窓から彼女が手をふる。

    朝まで一緒にいたはずなのに、数ヶ月ぶりの再開のような気がした。

    「あの行き先は・・・」と運ちゃんに言おうとすると、

    「もう伝えてあるよ」と彼女。

    さすが、気が利く。完璧。

    タクシーが動き出す。

    彼女はマスクだけじゃなくて、大きなビニールバッグも買ってきてくれていた。

    「こういうのあると便利でしょ?」

    すでにパンパンで破けそうになってる紙袋から、中身を手際よく詰め替えていく。

    手伝う隙がないくらい手際がいい。

     

    タクシーの中でいろいろ話した。

    何話したのかを具体的にはあまり覚えてないんだけど、これから一緒にやりたいこととかそんな話だった気がする。

    病院に向かう間、彼女はずっと手を握ってくれていた。

     

    落ち着く体温だった。

     

    夜間通用口の前にタクシーが止まる。

    降りる。

    「新型コロナ対策のため面会禁止」と書かれた看板が立っている。

    彼女はここまでだ。

    「じゃあね」と彼女が言う。

    一歩近づいてハグする。

     

    夜間通用口の前で抱き合ってるので、守衛さんがめっちゃ見てる。

    しかし、守衛の目なんて気にしている場合ではない。

    こちとら、いつぶっ倒れてもおかしくない体なんだ。

     

    余命2年

    緊急手術といっても、事前に脳の血管の位置などを調べないといけないので、頭を開けるまで数日時間があった。

    この間に、少しでも自分の病気について調べようと大学に残って研究を続けている京大の同級生に「グリオーマの治療に関する論文を探して欲しい」と頼み、手術前からその論文を読んでいた。

    読んだ結果分かったのは、グリオーマは極めて進行が早く、標準治療(放射線+抗がん剤)を行った場合、手術後の存命期間は中央値で2年ということだった。

    有り体にいうと今の医療では治療できない不治の病ということが分かってしまった。

    治療方法を調べた結果、自分が統計的にはそう長く生きれないことを手術前に知ってしまった。

    左半身が消失!?

    悪性脳腫瘍グリオーマ

     僕の脳内にできた”おでき”はグリオーマ(神経膠腫)と呼ばれる悪性脳腫瘍でした。

    グリオーマの予後が極めて悪いのは、こいつに困った性質があるせいです。

    楽には死ねない

    患者は概ね手術から2年程度で死亡する病気だというのは前回お話した通りなのですが、それは心臓が止まるという意味での死です。

    死ぬとしてもその前に腫瘍が侵入した脳の部位が司っている機能は失われていくので、「心臓が止まるより先に体は動かなくなるし、言葉も理解できなくなるかもしれない」というわりと救いようのない病気です。

    脳みそを削るしかない

    しかも、グリオーマは正常な脳細胞の間に入り込んで行ってしまう腫瘍で正常な脳との境界がありません。

    がんの手術の際、一箇所に塊であればそこを切り取って終わりなのですが、

    しかし、グリオーマの場合、どこに腫瘍細胞がいるか分からないので、怪しそうな場所を正常な脳細胞ごと切り取るしかありません。

    切り取った正常な脳細胞が担っていた機能は当然失われます。

    さらに腫瘍細胞は正常な脳細胞の中に紛れているので、手術で完全に取り除くことは事実上不可能です。

    そして、残っていればまた増殖します。

    そのため、平均余命が1~1.5年と極めて予後が悪いがんです。

     

    不幸中の幸い

    僕の場合、運良く腫瘍ができてたのが、右前頭葉だったので、言語には特に障害は出ませんでした。

    手術を受けるまで知らなかったのですが、大抵の人間の右前頭葉は何をしてるのかよく分かっておらず、削っても比較的問題にならないらしいです。

    世間ではよく「左脳が論理脳で、右脳が言語脳」とか言われてますが医学的には真っ赤な嘘です。

    ごく稀に言語野が右前頭葉にある人もいるそうで、その場合、右前頭葉を切るとと言語に障害が出る可能性が高いらしいです。

    いよいよ開頭手術

    いよいよ手術の朝になり、手術室まで看護師に付き添われて歩いていきます。

    こういう時ドラマだとたいていストレッチャーで運ばれていくので僕も乗せられて運ばれると思っていたら、現実は全然違いました。

    普通に歩いて手術室入室でした。

    しかし、手術台の上で煌々と輝いているライトはドラマと変わりありませんでした。

    手術台に乗るときは「意外と寝るベッドは狭くて枕も小さいんだな。寝返り打ったら落ちるな。」とか考えてました。

     

    余談:患者は頑張れない

    よくドラマなんかで手術室に入る前の患者に「頑張ってね」と声をかけるシーンがありますよね?

    僕はいつも謎に思ってました。

    患者は麻酔かけられて意識ないのにどうやって頑張るの?と。

    どちらかというと頑張るのは10時間もぶっ続けで手術する執刀医なんじゃないかと。

     

    左半身が消失!?

    人生初の左半身喪失

    手術の最中は麻酔で意識がないので、「ゆっくり息をして・・・吸って吐いて・・・」から気づくと突然、全身管だらけで身動き取れない状態で寝ていました。

    集中治療室で、人生で初めて、てんかん発作(痙攣)を経験して死ぬかと思いました。

    自分の身体が意思と関係なく動くという経験がなかったので。

    人間の神経は右と左が延髄で交差しているので右脳は左半身の運動を、左脳は右半身の運動を制御しています。

    右前頭葉であれば、言語能力に大きな影響はないとはいえ、左半身には影響が出ます。

    何より怖かったのは、発作が起こった後、しばらく自分の左半身が消えて右半身だけになることでした。

    右手と右足は感覚があって動かせるのに、左手と左足は感覚がなく全く動かせない

    感覚としては自分の左半身が消失したような感じ。

    こっちの方が手術台に乗る前の100倍は怖い。

    医学的には左半側無視と言って、脳が左半身を認識できなくなるために起こる症状らしいです。

     

    即座に抗がん剤と放射線治療

    発作は頻繁に起こるし、半身麻痺でまともに動けないしで大変な状態でしたが、手術の傷も生々しいうちに放射線治療と抗がん剤が開始されました。

    放射線を当てる治療では上の画像は無料素材サイトから取ってきたので実際の治療中の僕ではありませんが、まさにこんな感じで被爆していました

    ちなみにこのジェイソンルックなマスクは放射線の当たる位置がずれないように、一人一人顔面の型をとって、オーダーメイドで作られます。

    副作用

    幸い僕の場合、放射線治療で元々薄かった右前が禿げ上がったことと、抗がん剤で重度の便秘になったくらいでした。

    吐き気が酷くて何も食べれないとかはなかったです。

    (病院食が不味すぎて食べれないのはありましたが)

    最強の便秘薬ヨーグルト

    便秘も助っ人に来た母にヨーグルトを買ってきてもらったら治まるくらいだったので、そこまでひどくはなかったです。

    丸一週間でなかった時はさすがに苦しくなって、医者から病院に置いてある便秘薬の中で最強のものを出してもらったりしましたが。

    結局僕の場合、最強の便秘薬よりヨーグルトの方が良く効きました(笑)

    治療の副作用は大したことはなかったのですが、リハビリは自分のできなくなっていることに驚きました。

     

    衝撃のリハビリ

    左半身が全く動かない状態では生活できないので、治療と並行してリハビリもやっていました。

    一般的な手すりを持って歩いたり、階段の上り下りをしたり、というリハビリももちろんやったんですが、

    リハビリで一番衝撃的だったのは

    反射神経測定機みたいなヤツで光ったボタンにタッチするというリハビリがあったんですが、終了後に理学療法士さんから「左のボタンが光ったの分かりました?」と聞かれて驚きました。

    左側のボタンが光ったことに全く気づいていなかったのです。

    できなかったことすら認識できない。

    脳機能障害の恐ろしさを再び実感した出来事でした。

     

     一人暮らし禁止&強制送還

    手術後はてんかんの発作がちょくちょく起こるようになり、一人暮らしは医者から禁止されました。 発作を起こした時に誰かがすぐ助けに来てくれないと、大事になる可能性があるので。

    恋人と結婚して東京で一緒に暮らすという選択もあるにはあったんですが、聞いてみたらさすがに断られました。24時間旦那のそばにいないといけないのは難しいと。

    他に24時間誰かそばに誰かが居てくれる環境となると実家しかありません。

    そんなわけで、九州の山奥にある実家に帰ることになりました。

    幹細胞で人体実験

    失意の田舎暮らし

    実家は想像を絶する田舎で、見渡す限り「田んぼ、山、川」の中にちょこちょこ民家があるような場所です。

    大学生の頃、旅行ついでに遊びにきた同級生に「ガチでどうやって生活してるのか想像できない」と言われるレベルの田舎です。

    ちなみに、その発言をした同級生も自分も田舎の出身だと言っていました。

    現在はバスは廃線、列車(電車ではない)は最寄り駅まで車で20分。一番近いスーパーはつい先日潰れて、最寄りでこれも車で20分になってしまいました。

     

    これはフリー素材ではなく、実際に家の前から撮影した風景です(笑)

    運転できない=足がない

    バスもない、電車もない、タクシーも配車圏外なので、車は1人1台必要です。

    車がないと買い物にも行けないので。

    しかし、僕自身はてんかんのせいで運転ができません。

    出かけるときは両親と予定を合わせて送迎してもらうしかありません。

    幸い今はリモートで仕事ができるので、仕事は問題ないですが、連れて行ってもらわないと食料品も買えません。

    ちなみにアルベイズは全国各地をリモートで繋いで運営しています。

     

    佐賀大学医学部附属病院へ転院

    佐賀から東京の病院には通えないので、佐賀医大病院に転院することに成りました。

    運良く、佐賀医大病院はグリオーマを専門で研究している脳外科がある日本唯一の病院らしく、東京の主治医よりも遥かに病気に関しては詳しかったです。

    てんかん治まる

    てんかん発作が頻発していた原因は明らかで、東京の主治医が抗てんかん薬の調整を忘れていたせいでした。

    手術後、全身に発疹が出て、薬のアレルギーかもしれないということで、それまで使っていた抗てんかん薬を変更しました。

    で、その後、発疹はただのニキビだったことが分かって「薬を元に戻そう」という話になったのですが、その後、退院まで薬は変更されず、発作の恐怖を抱えたまま退院することになってしまいました。

    医大病院の主治医はなぜこんな処方になっているのか分からないと言っていました。

    治療は変わらず抗がん剤

    放射線は東京で既に照射可能な最大線量まで照射していたので、これ以上は使えません。

    よって残る治療は抗がん剤のみ。

    実家に帰ってからも、変わらず月に5日間サイクルで抗がん剤を飲んでいました。

    副作用があまりないのに加え、僕の抗がん剤は飲み薬だったので、治療の負担は軽い方だったと思います。

     

    しかし、普通に抗がん剤を使っていても、統計データ通りならあと1年もせずに死んでしまいます

     

    再生医療認定医との出会い

    リハビリのお陰で日常生活には問題ないレベルまで麻痺や脳機能障害は改善していたのですが、それでも以前に比べると左半身が動かしにくかったり、集中力や思考力が落ちているのは変わりませんでした。

    本のページがうまくめくれなかったり、となりの部屋で人が話しているだけで本の内容が頭に入って来なくなったり、とそんな状態でした。

    「移動もままならず、家の中でも不自由を感じながら残りわずかな余生を生きる」のには耐えられないと思いました。

    知り合いの紹介

     仕事で付き合いのあった知人から「幹細胞治療のできる医師を知っているから話を聞いてみたらどうか?」と紹介されたのが、現在アルベイズのヒト幹細胞培養上清液を仕入れさせてもらっている再生医療認定医でした。

    再生医療というと、iPS細胞など新しいものに目が行きがちですが、幹細胞治療(体性幹細胞を利用するもの)は10年ほど前(2010年頃)から日本でも行われていました

    ちなみに、日本では10年間幹細胞治療による重篤な副作用は報告されていないそうです。

     

    ヒト幹細胞培養上清液での治療

    ヒト幹細胞培養上清液は幹細胞を培養するとき分泌される細胞を活性化させる生体分子を多量に含んだ言わば幹細胞エキスです。

    名前が長いのでアルベイズでは単に上清液と呼んでいます。

    1週間ほど使い続けると、マヒが軽くなっているのを実感しました。

    保険適用外で1日2万円なので、お金はかかりましたが。

    再生医療の効果を体感して驚きました。

    通常、損傷した神経細胞は再生しないので、神経損傷によるマヒは治せないものだからです。

    ちなみにアルベイズ製品に配合しているヒト幹細胞培養上清液は僕が治療に使用したものと同一のものです。

     

    これは僕の幹細胞から作った上清液です。

    冷凍でもらってきて、解凍、希釈して点鼻してました。

    幹細胞投与

    上清液の場合、生体分子が細胞によって消費されてしまえば、効果は終了してしまいます。そのため、使い続ける必要があります。

    実際、上清液で麻痺が改善しましたが、使用を止めると麻痺が戻って来ました。

    幹細胞投与は患者から採取した幹細胞を培養して増やして体に戻すという治療です。

    幹細胞は神経細胞へ分化して神経を再生させるのはもちろんのこと

    成長因子(上清液の成分)を分泌することで、細胞を活性化してくれます。

    つまり幹細胞を体の中に入れてしまえば、半永続的に上清液を投与し続けるのと同じ効果が得られます。

     

    命がけの人体実験

    僕と同じ脳腫瘍に対して適応した事例はないんですが、このまま標準治療を続けていても元の生活に戻れる可能性はほぼゼロなので、幹細胞投与をやることにしました。

    幹細胞治療が始まって10年間は副作用報告がないということは10年間はおそらく大丈夫だけど、それ以降長期的にどういう影響があるのかはよく分からないということです。

    しかし、このまま何もしなければ、10年どころか1年しないうちに死んでしまうので、幹細胞治療をやらないという選択肢はありませんでした。

    以前から僕が運営している美容ブログでは、よく「自分で試してみて、その効果を検証する」人体実験報告をやっていましたが、今回は前例のない命がけの人体実験です。

     

    末期がんに幹細胞治療

    幹細胞でがん治療を行う研究をされている横山博美医師がその内容をまとめられた本がありますので、興味のある方は読んでみてください。

    ⇒幹細胞療法でがんが消えた

    一昔前だと、幹細胞治療の効果を知ってる医者は自分ががんになったら、幹細胞を投与して自分で治療していたんだとか。

    現在は厚労省の方針が変わって、気軽にはやれなくなったみたいですが。

     

     幹細胞投与の効果は!?

    幹細胞投与の効果は一言でいうと劇的でした。

    先生によると通常、効果が出るには数週間あるいは1回の投与では効果が出ず、2回、3回と繰り返して効果が出るという患者が多いらしいのですが、

    僕の場合、投与してもらって家に帰る車の中で半身の麻痺が分からなくなるくらいまで回復しました

    現在も麻痺は戻っておらず、ほぼ手術前と同程度の動きはできていると思います。

    認知機能の方もかなり回復して、「周りの音で集中できない」ということはなくなりました。

    これも音楽を聞きながら書いています。

    幹細胞の力を知ってほしい

    他にも色々人体実験をしていたのでグリオーマの方に幹細胞治療の効果があったのかどうかはよく分かりません。

    しかし、麻痺と認知機能の回復は間違いなく幹細胞治療の効果です

    この体験から多くの人に幹細胞の持つ力と可能性を知ってほしいと思うように成りました。

    そして立ち上げたのが、アルベイズです。

    しかし、そう簡単には立ち上がりませんでした。

    いきなり頓挫

    事業を立ち上げるにあたり、融資を受けようとしたのですが、金融機関からは「そんなものが売れるわけない」と言われ、融資を断られました。

    当面の資金は資本金と僕の個人貸付でなんとかすることにして、会社を立ち上げたのですが、、、

    そこにさらにい追い打ちをかける事件があり、、、

     

    腫瘍悪化で再手術

    その後、九州の方でも病院に通って抗がん剤による治療や定期的な検査をしていたわけですが、どうやら腫瘍が悪化しているようだと検査で分かりました。

    かなり特殊な検査で分かったので、おそらくグリオーマを専門にしている地元の大学病院でなければ、気づかずにそのまま悪化して死んでいた可能性もあります。

    それで再手術をしようということになりまして、大学病院で2020年末に2度目の開頭手術を受け、年越しは家で過ごしたいので早めに退院したのですが、三が日が終わったころ、手術の傷が腫れているのに気づきました。

    頭蓋骨とのお別れ

    これはおかしい!と思って、病院に行ったら細菌感染が分かって、即日入院でもう一度頭を開けることになりました。

    人生2回目の即日入院でした。

    そして半年程度、頭蓋骨を外した状態で生活することになりました。

    手術で外した頭蓋骨自体が細菌に汚染されているリスクがある上に固定するための人工物周りで細菌が繁殖するリスクもあるので、脳外科手術で細菌感染が分かった場合は、頭蓋骨を3ヶ月ほど外しておくのが普通らしいです。

     

    頭蓋骨の右前1/4がない状態なので、半年ほど写真のようなヘッドギアを被って生活することになりました。

    余談 脳みそ丸見え?

    「ヘッドギア外すと脳みそ丸見え状態だったのか?」とよく聞かれたので、念のため説明しておくと、頭蓋骨は入ってなくても頭皮は縫い合わせてあるので、ヘッドギアをとっても脳みそは見えません。

     

    ヘッドギアファッション

    脳みそは見えなくても頭蓋骨プロテクトがない状態なので

    頭をぶつける=脳みそをぶつける

    ということになってしまいます。

    よって、風呂はいる時と寝る時以外は常にヘッドギアを被っていないといけません。

     

    2021年前半はこの写真のヘッドギアを被って半年間生活してました。

    元々、うちの実家は僕の身長が180近くになることを想定した設計になってないので、気をつけないとすぐに頭をぶつけます。

    ヘッドギアを被ってるとその分、頭のサイズが一回り大きくなります。

    そのため、これまではぶつけない高さだったところにまで頭(というかヘッドギア)がぶつかるようになり、不便な思いをしました。

    夏は暑いし。

    超奇抜な見た目で、どこに行っても注目の的だし。

    スタイリストさんに「ヘッドギアに似合うコーディネートはないか?」と聞いてみたら「さすがにそれは難しい」と言われてしまうし(笑)

     

    いきなり倒産!?

    人生3度目の開頭手術は無事に成功し、また細菌感染を起こしたら目も当てられないので、傷が完全に塞がるまで長めに入院することになりました。

    結局、緊急手術で大幅に予定が狂ってしまい、会社を設立したものの、まったく事業は進められられず、運転資金だけが溶けていくというヤバい状況に陥りました。

    退院後は頭蓋骨がなくても仕事はできるので、第一弾製品発売に向かって進んではいました。

    しかし、一生ヘッドギア被って生活するわけにはいかない(というかそんな一生は全力で拒否したい)ので、捨てた頭蓋骨の替わりにセラミックで作った人工頭蓋骨を入れる手術が必要になります。

    困ったことにその再々々々手術(4回目)がクラファンの準備が佳境に入る時期としっかり被ってしまい、発売はさらに遅れることになってしまいました。

    元々、8月にクラファンをやる予定だったのですが、8月はまだ僕が入院していたので、土台無理なことでした。

    サイボーグ化からのクラファン

    サイボーグ化手術

    頭蓋骨がない状態でずっと生活するのは危険過ぎるので、頭蓋骨処分の3,4ヶ月後に頭蓋骨を挿入する手術が必要になります。

    生まれた時から入っていた頭蓋骨は既にないので、人工のセラミックで代用します。

    言ってしまえばサイボーグ化手術です。

    既に僕は一部人間ではないと言っても過言ではありません(笑)

     

    ICUで工場へ発注

    既に融資を断られた上に第一弾製品の発売が遅れに遅れ、一刻も早く発売しないといけない状態だったのですが、突然の再手術(本当は再々々手術ですが)とサイボーグ化手術のせいで、製品の発注すらできていない状態で時間だけが過ぎていくことになってしまいました。

    金融機関が貸してくれないなら、「クラウドファンディングしかないよね」ということになり、準備を進めていたのですが、準備中に頭蓋骨挿入サイボーグ化手術の日がやってきてしまいました。

    そこでさらに遅れるわけにはいかなかったので、手術が終わり次第、ICUで工場への発注をかけるつもりでいたのですが、残念ながら佐賀医大病院は東京の病院と違ってICU内は電子機器使用禁止でした。

    仕方ないので、ICU出たら個室に移るようにして、そこでノートPCで発注書を作成して送りました。

    余談ですが、東京の病院ではICUでゲロ吐きながらメール書いてました(笑)

    余談:佐賀と東京の格差

    佐賀の特別個室料金は東京の通常個室料金の半額でした。

    そのせいで特別個室が異常に安く見えて、つい特別個室でお願いしてしまいました。

    ちなみに東京の特別個室料金は高級ホテルでした(笑)

    Makuakeのクラウドファンディングで成功

    そして、元々2021年の8月開催予定だったクラファンは遅れに遅れ、12月になってしまいました。

    8月の頭まで僕は入院してたので、ほとんど進められてなかったので当たり前なのですが。

    初めてのことだったので、ちゃんと集まるのか不安で手術前以上にドキドキしてたんですが、、、

    蓋を開けてみれば、あっという間に目標としていた100万円を突破してしまいました。

    あまりにも早かったので、共同経営者から「超えましたね」と連絡を受けて、画面をリロードしたら確かに超えていました。

     

    クラファンの結果を知った金融機関は手のひらを返したように融資に乗り気に成り融資も受けることができて、アルベイズはなんとかスタートを切る事ができました。 

    幹細胞治療は継続

    一回の脂肪採取で幹細胞は6回投与できるので、その後も採取した分は定期的に投与して、計6回投与しました。

    投与1回200万円なので、銀行の預金残高はカラカラになりましたが。

    そのおかげかどうかは分かりませんが、2年だった余命を既に超えて現在に至ります。

    ちなみに幹細胞治療は保険適用外の自由診療なので、決まった治療費がありません。

    一回200万円は高いよ、と誰もが思うはずです。

    もちろん僕も思いました。

    しかし、200万縁は日本では最安水準の価格です。

    他の東京のクリニックだと、1回500万とか600万とかします。

    先生は引退

    アルベイズユーザーの皆さまからよく「その再生医療認定医を紹介してもらえないか?」と頼まれるのですが、残念ながらそれは無理なのです。

    というのは、先生は高齢で既にクリニックを閉めて、引退されてしまったからです。

    医師免許取得へ向けて勉強中

    医学部学士編入試験という医学部入学の裏技的システムがあります。

    僕自身、医師免許を取ろうと思って調べるまで知らなかったのですが、「学士」の資格を所持(=大学を卒業)していれば、この医学部学士編入試験で、一回旧特進で医学部2回生からスタートできるのです。

    僕は一度、京大を卒業しているので、出願資格があります。

    そして、学士編入で入学すれば、医学部の1回生をスキップして2回生からスタートできるというメリットがあるのです。

    1年分の学費を払わなくて良い分お得で、かつ早く医師免許が取得できます。

    あと、入試科目がたいていの大学で自然科学、英語の2科目です。

    つまり、一般入試で必要な数学とか国語を今更勉強しなくて済みます。

     

    さらに問題がとてつもなく難しいです。

     一般入試だと問題はそこまで難しくありませんが、そのかわりその問題をミスなく正答しなければいけません。

    一般入試の合格ラインはどこの医学部でも9割程度だと言われていますが、難問ばかりの学士編入試験では6割取れれば合格ラインだと言われています。

    僕の場合、簡単な問題をミスなく解くのは苦手ですが、難しい問題をそれなりに解く方は得意です。

    今更、数学とか勉強したくないのと自分の能力的に学士編入試験の方が向いている&学費を1年分払わなくて良くてエコなので、学士編入で医学部に入ろうとしてます。

     

    上清液の仕入れには医師免許が必要

    大きな理由はアルベイズで使用しているヒト幹細胞培養上清液が医療用規格のものなので、医師免許を所持していないと仕入れることができないのです。

    現在は僕の治療をやってくれた先生が仕入れたものを僕らが売ってもらう形になっています。

    おじいちゃんとはいえまだまだ健康そうなので当面は問題なさそうなのですが、もし先生に何かあった場合、アルベイズの生命線である高品質なヒト幹細胞培養上清液が使えなくなってしまいます。

    粗悪なものであれば、どこからでも仕入れられますが、それでは「本当に効果のあるものを作る」というアルベイズの理念からは大きく外れてしまいます。

     

    アルベイズを続けるために、というのが最初の理由だったのですが、せっかく医師免許を取るのなら、自分も治療してくれた先生のように再生医療認定医の資格を取って、自分でも幹細胞治療をできるようになるのが、次の目標です。

    まず医学部に入らないと話にならないのですが、医学部学士編入試験も浪人中なので、医師免許の取得はいつになるか分からない状態ですが、体が動く限りは挑戦するつもりです。

     ALBASEに込めた想い

    見た目で悩むのはもったいない

    僕自身、大学院生の時、自分の髪が薄くなっていることに気づき、自信を無くし、引きこもって大学院を中退した経験があります。

    薄毛を治療する過程をリアルタイムで発信するブログを始めてから、ブログには外見の悩み相談が多く寄せられていました。

    中には「髪が薄くなってきて、死にたい」というものもありました。

    髪が薄くなったくらいで、と思うかもしれません。

    僕自身は死にたいとまでは思いませんでしたが、それでも大学院に通えなくなるくらいには悩みました。

    見た目に悩んで、引きこもったり、自殺したりするくらいなら、まず見た目をよくすればいい。

    実際、僕も薄毛が治ってからは生きるのが楽になりましたし、社交的になったと思います。

    ブログを読んでいた薄毛で悩んでいた方も多くは髪が増えたことで、前向きに人生を歩むことができているようです。

    医学部だと「美容医療は命を救わないから、医療ではない」と考える教授が大半で、入試の面接で「美容外科医になりたい」などと言おうものなら学科が高得点でも落とされるくらいです。

    しかし、僕自身、身を持って外見がいかに自信に影響を与えるかを知っています。

    外見の悩みは重大な問題で、相談を寄せてくれた読者のように命に関わることもあります。

    外見の問題はQOLを大きく低下させ、本人が不幸になるだけでなく、社会的にも大きな損失です。

    本来社会に参加していたはずの1人がいなくなるわけなので。

    「見た目なんて気にしなければ良い」というのはその通りなんですが、誰もがそう思えるほど強くはない。

    やっぱり、他人からどうみられているのか気になりますし、できるだけ外見でよい評価をされたいものです。

    外見がの悩みが気になって、自信を失っているのであれば、まず外見の悩みを解決すれば良い。

    たいていの人はそれだけで、自信も戻ってきます。

    今後も命が続く限り、アルベイズを通してその手助けができるように全力投球していくつもりです。

    アルベイズ梶原

    x

    x
    x