分化とは?
Share
こんにちは。
アルベイズ梶原です。
分化とは細胞の性質や形態が変わることを表す生物学用語です。
再生医療や幹細胞治療を理解する上で重要な概念になりますので、やや専門的ですが、ここで詳しく解説しておきます。
分化とは?
分化には以下のような特徴があります。
基本的に不可逆
受精卵の状態では全ての遺伝子が使用可能な状態(全能性細胞)なのですが、分化が起こり体の組織が形作られていく過程で、その全能性は失われていきます。
分化する時にその組織に不要な遺伝子がロックされて使えなくなるので。
なぜ、その組織に不要な遺伝子がロックされていくのかというと、脳の細胞の中で皮膚の細胞ができちゃったら困るからです。
※このように本来はその組織ではない組織ができてしまったものが腫瘍です。
※その腫瘍の中でも不死化し、無制限に増殖する腫瘍を悪性新生物(がん)と呼びます。
分化の順序
受精卵(全能性幹細胞)⇒多能性幹細胞⇒体性幹細胞⇒体細胞(最終分化)
の順に分化は進んでいって、基本的に逆戻りはできません。
iPS細胞の発見
分化は”基本的に”不可逆と書いたのはiPS細胞が発見されてしまったからです。
最後まで分化しきった体細胞であっても、いくつかの遺伝子を入れることで、全能性細胞に近い状態にできるというのが山中先生の大発見だったわけです。
iPS細胞の発見までは分化は完全に不可逆で、体細胞から幹細胞を作ることは不可能だと考えられいました。
iPS化のような特殊な処理をしない限り、最終分化した細胞である体細胞はその細胞そのものにしかなれません。
つまり、細胞分裂しかできません。