ハイドロキノンの効果と発がん性
アルベイズ梶原Share

こんにちは
アルベイズ梶原です。
ハイドロキノンは、肌の漂白剤と言われるような強力な成分ですが、その効果と安全性については様々な意見があります。
科学的にどうなのか、ハイドロキノンの美白効果とリスク、発がん性について詳しく解説していきます。
ハイドロキノンとは?
ハイドロキノン(hydroquinone)は日本語ではヒドロキノンとも呼ばれる有機化合物で、このような構造をしています。
ウィキペディアより
ハイドロキノンは、メラニン色素の生成を抑制し、シミやそばかすを薄くする効果があることが確認されています。
ハイドロキノンの美白効果は科学的に確認されている
ここでは紹介しきれないくらい多くの論文が、ハイドロキノンの美白効果を報告していますが、とりあえず、1報だけ載せておきます。
Masub N, Khachemoune A. Cosmetic skin lightening use and side effects. J Dermatolog Treat. 2022 May;33(3):1287-1292. doi: 10.1080/09546634.2020.1845597. Epub 2020 Nov 10. PMID: 33135510.
実際、ハイドロキノンは医療機関でもシミ、肝斑、そばかす、ニキビ跡の色素沈着などの治療に使われています。
美白効果のメカニズム
メラニンの生成に関わるチロシナーゼという酵素を阻害することでメラニンの生成を抑制し、美白効果を発揮します。
ハイドロキノンはいかにもチロシナーゼを阻害しそうな構造をしています。
さらにメラニンを作らせないだけでなく、既に沈着したメラニンを薄くする効果もあります。
新たにメラニンが作られなければ、既に沈着していたメラニンはターンオーバーで垢になって排出されてしまうので、当然といえば当然です。
ハイドロキノンの危険性と副作用
ハイドロキノンに美白効果があることは間違いないですが、強い美白作用と同時に様々な副作用のリスクもあります。
高濃度のものほど効果は高いですが、副作用の発症率は高くなります。
よく話題になっているものは
- 発がん
- 皮膚刺激
- アレルギー反応
- 白斑(色抜け)
- 光過敏
などですね。
発がん性
ハイドロキノンには変異原性(遺伝子変異を誘発する性質)があるという報告があります。
また、ラットでの実験ではがんの発症率が上昇することが確認されています。
ただし、この実験はヒトには絶対使わないような量のハイドロキノンを投与したものなので、ヒトで同様に発がんが起こるとは考えにくいです。
そのため、WHOや米国FDAでは2025年現在、ハイドロキノンを発がん性物質とは認定していません。
しかし、確認されている副作用も複数あります。
皮膚刺激
使用中は皮膚が敏感になり、赤みが出たり、かゆみやヒリヒリ感、乾燥などが出ることが少なからずあります。
アレルギー反応
これは他の成分についても言えることですが、体質によってはアレルギー反応が出ることがあります。
白斑(色抜け)
肌がまだらに白くなる症状で、皮膚のメラノサイトが死滅することで起こります。
一度死んだメラノサイトを復活させるのは難しいので、治療が大変な病気です
光過敏
使用中は紫外線に敏感になるため、紫外線対策が必須になります。
また日中は紫外線を完全に避けることは不可能なので、これから紫外線を浴びることになる朝は使用しない方がよいでしょう。
長期使用リスク
長期間使うほど、上のような副作用の発生頻度は上がり、症状も重くなります。
ちなみに、米国FDAでは長期使用については注意喚起が行われています。
海外の規制事情
日本では化粧品にも配合されていますが、海外では市販化粧品への配合が禁止されている国もあります。
まとめ
ハイドロキノンは、強い美白効果がありますが、安易に使用すると上に挙げたような問題が起こる可能性があります。
使用する際は、紫外線対策を十分に行うよう注意が必要です。
特に高濃度のもの(4%以上)のは皮膚科医の指導を受けながら使う方が良いでしょう。